カカオ100%
「おはよ―」
教室の扉を開け、自分の席につく。
窓際の一番後ろから二番目。
「はよ―。って、伊織!何で昨日帰っちゃったの?」
透子が見ていた鏡を机に置き、あたしの前の席の椅子に腰かけた。
朝からこの話題か…。 出来れば思い出したくなかったのに。
「だって、あたしああいうの苦手なんだもん」
だって…合コンだよ? あたしはもっとこう…なんていうの?
ザ・高校生!っていう恋がしたいの。
透子は、はぁ。と深い溜め息をつきくしゃっと髪をかきあげる。
「伊織は夢見すぎなの!もっと現実見たら?」
え―。はいはい。
おっしゃる通りですよ。
どうせあたしは夢みてますよ――だ。
と、いうか。
夢しか見てませんよ―だ。
だって、どうせするなら素敵な恋の方がいいでしょ?