カカオ100%







「で、昨日はそのまま家に帰ったの?」


 ぎくっ


 予想外に会話を戻され、怪しいくらいうろたえるあたし。



 横では勇介が「何の話―?」と、きょとんとした顔で尋ねてくる。



「その顔は…何かあったね?」


 にっと笑う唇にのせられたベージュの口紅が、やけに怪しく光って見えた。


 ありましたとも。
 ありまくりですよ。


……でも、言えない。


 だって言う必要もないと思うし。


 あんなの、なかったことにすればいいっ!




「別に何も…」


「はけ」


「……はい」


 透子に命令形で言われたら、答えるしかない。


 ほんと、何で勇介は透子の事が好きなんだろ。(失礼)



 尊敬するよ。

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