カカオ100%





「ってことなの!分かった?」


 透子が一通り話し終え、ふぅと小さく溜め息をつく。


 猛スピードで勇介に話す姿はまるでどっかのお母さんみたいだった。


「え?ちょっ…待って、やばいじゃんそれ!」


 勇介がいきなり椅子から立ち上がった。


 その反動で椅子がばたんと大きな音をたてて地面に伏せるように倒れた。


「でしょ―?ほんと伊織ってば……」


「合コンなんか行っちゃダメだ!」



 はい?


 勇介の思わぬ発言に、あたしと透子の頭はショートし、口は顎が外れそうなくらいガン開き。


 いわゆる"マヌケ面"ってやつだ。


 そうだった。

 勇介は、超がつくほどの純情少年なんだった。

 合コンなんて、勇介には刺激が強すぎたか。





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