カカオ100%
その先生は、黒板に男とは思えないほどキレイな文字で名前を書いた。
カッ カッとチョークの走る音が教室内に響く。
「早川 陸です。よろしく」
黒縁のビン底眼鏡に、寝癖かと思いたくなるほどボサボサの髪。
長い前髪のせいで、顔の半分が隠れてしまっている。
身長は高い。
けれど、一言で言えば……
「受け付けないタイプね」
うん。
まさにその通り。
その他の女子も、わずかな期待に賭けていたのか、所々から「はぁ―」と溜め息らしきものが聞こえてきた。
その反面、男子は「よかった」とでも言いたげな、ものすごく嬉しそうな顔をしている奴もいた。
………まぁ、それは勇介の事なんだけど。