カカオ100%



 【出会い】:出会うこと、はめぐりあうことまたは思いがけなくあうこと。

 出会いってほんとに大切だとつくづく思う今日この頃のあたし。




「あの、ちょっと離して下さい!」


 腕を引かれ、夜の町を人並みに逆らうようにして歩くあたし。


 いや、あたし達……と言った方がいいだろう。


「いいから、いいから。俺に着いてきてよ」


 腕の力をいっそう強め、逃がさないと言わんばかりにどんどん足を進めていく彼。

 正直掴まれた腕が痛い。

 全くもう、なんなのよ……いったい。




 話しは数時間に遡る。


『合コンしたい!』


 事の発端は親友である透子のこの一言。


 学校が終わり、みんながだるそうに帰宅していく中、透子が公衆の面前にも関わらず叫んだこの言葉。


 透子とは中学校の時から仲がよくて。


 あたしは透子と一緒に高校に通いたくて今の高校を選んだと言っても過言ではないほど。


 高校合格した時は二人で抱き合って泣き叫んだっけ。


 ま、そんなこんなで急遽決まった合コンに、メンバーが集まるはずもなく。


 用事がなかったあたしが半ば強制的に連れて来られた…ってわけなのだけど。


< 5 / 39 >

この作品をシェア

pagetop