【SR】メッセージ―今は遠き夏―
動かぬ証拠
「よお。早かったね」
「ううん、あたしも今来たところ」
こないだのバス停で待ち合わせた二人は、お互いをすぐに見つけると、どちらからともなく歩み寄った。
二日の間、百夏はできる限り記憶を紐解いてみた。
でも結果が変わることはなく、欠片すら拾うことができないまま今日を迎えた。
この後、写真を目の当たりにしても、自分の記憶が埋まる自信は全くなかった。
だが、少しずつ近づいてゆくしかない。
最初の一歩を踏み出さなければ、ゴールには辿り着けないのだ――。
「かくれんぼ」で窓際の席を案内された二人は、注文を済ませるとすぐに、目的の会話を始めた。
「ある、とは言ったものの……もう昔のことだったからさ、探すのに結構苦労したよ。
写真はこれ一枚きりだけど……見てみて」