【SR】メッセージ―今は遠き夏―
スナックの店内で撮ったものなのだろうか。
背景が薄暗く、フラッシュが当たった手前の人物が目立つ写真だった。
寄り添って、笑顔でVサインをする二人。
一人は繁人だ。
今よりも少しあどけなさが残っているが、人なつっこい印象は今と変わらない。
そして、その隣で笑う派手な女性。
金に近い髪の色に、赤い口紅が目を引く。
当然、今の百夏なら絶対にこんな色を塗ることはないだろう。だが――。
「これは……あたし……?」
写真を見ても、記憶は何も浮かんでこなかったが、そこで微笑む女性は何度見ても百夏なのだ。
「今より若干ケバイけど、笑うと浮かぶ頬骨とか、丸くて大きな目とかさ。
今より少し前のモモカに違いないだろう?」
僅かな特徴の一つ一つが怖いほどに一致し、動かぬ証拠に、もう認めざるを得なかった。