【SR】メッセージ―今は遠き夏―
飛行機が離陸を終えた頃、百夏はポツリとつぶやいた。
「ごめんね……こんなことに巻き込んで」
叔母が亡くなったと嘘をつき、繁人は3日ほど忌引を申請して都合を付けた。
そこまでさせて会社を休ませてしまっては、さすがに罪悪感がこみ上げてくる。
ヒートアップし過ぎた自分を反省した。
落ち込んだ百夏の肩を叩いて、繁人は優しく微笑む。
「いや……元はと言えば、俺が声を掛けたから始まったことだからね。
それに、俺はモモカに会えて嬉しいんだよ。
何度も言ったけど、本当に好きだったからね。
……過去形じゃなくて、い……」
そこまで言うと、繁人は口をつぐんだ。
「なんでもない」
窓の下に広がる大地を眺めながら、百夏はくすっと笑った。