【SR】メッセージ―今は遠き夏―
繋がった『モモカ』
「変わらないね。懐かしいよ」
カウンター席に腰掛けた繁人は、ぐるりと店内を見渡した。
天井から吊り下げられた少し古いシャンデリアが、さほど広くない店内を照らしている。
「相変わらず、細々とやってるわ。お店もなかなか綺麗にやり替えができなくてね」
ウーロン茶を二つカウンターに置くと、女性は店の奥へと消えた。
緊張のあまり喉が渇いていたらしく、一気に半分ほど飲み干すと、砂漠の砂が水を吸うように身体に染み渡って行った。
「お寿司、すぐ来ると思うから。
それで……こっちにはいつ出てきたの?」
女性は、青いボックスからタバコを一本取り出すと、顔をしかめて火をつけた。
「今朝です。9時の飛行機で」
「そう。最初からここに寄るつもりで?」
「はい。繁人にお願いして、連れてきてもらったんです」