【SR】メッセージ―今は遠き夏―
「百夏ちゃんに会えるなんて、思ってもみなかったわ。
――天国でお母さんと会えた千夏ちゃんが、呼んでくれたのかしらね」
……チカ?
百夏は、すぐに言葉の意味を理解することができず、女性の目を見て問いただした。
「千夏って……誰なんでしょうか――」
ドアが開いて、白い帽子を被った男性が寿司を三人前運んで来た。
百夏はとても食べる気はしなかったが、どうぞと言われ、遠慮がちに桶を受けとった。
「今日は……千夏ちゃんに会いに来たんじゃないの……?」
「いいえ。あたしは、無くなった自分の記憶を取り戻すために――」
横で黙って聞いていた繁人も口を挟む。
「久しぶりに偶然百夏を街で見かけて、声を掛けたんだ。でも百夏は、8年前にココで働いていた記憶がないって……それで」