【SR】メッセージ―今は遠き夏―
母は、母なりに自分の幸せを考えてくれていたのだろう、と百夏は思った。
今まで、妹がいるなんて知らなかったからこそ、一人でも頑張れたのかもしれない。
だが、もう少し早く、隠された真実を知っていたら――。
かわいい妹の肩を、自分も抱きしめることができたかもしれないのに。
「千夏ちゃん、きっと痺れをきらしちゃったんだね。
天国でお母さんを見つけて、百夏ちゃんの居場所を聞いたんじゃないかな。
だから今日こうして、百夏ちゃんがここに来てくれたんじゃないかって、そう思えて仕方ないのよ……」
女性は、さきほど抱えていた花束を見て言った。
「今日はね、千夏ちゃんの命日なの。
お墓参りに行こうと思ったんだけど、お店に忘れ物してたのを思い出してね。
立ち寄ったらシゲちゃんと百夏ちゃんがいたってわけ」