【SR】メッセージ―今は遠き夏―
ずっとそばに
飛行機を待つ間、空港のみやげものコーナーをブラブラと歩いた。
乳製品、ラーメン、スイーツ。
魅力にあふれる物品が並んでいる中、異様な雰囲気を醸し出すショップに目を奪われ、二人は立ち止まった。
「あれ、どんな人が買うんだろうね」
大きなあひるの着ぐるみが、プライスダウンの赤札を下げてラックに並んでいる。
愛くるしい表情をしてはいるが、身につけるのにはなかなか勇気が必要だ。
「さあ……。わざわざ新千歳から買って帰るようなものじゃないよな」
「その隣の棚も、なんだか個性的なプリントの洋服ばかり。店長の趣味なのかしら」
たった数日前に出会った人と、この場所を歩いている奇跡。
普通のカップルが目を合わせて、ごく当たり前に交わすような会話をしながら過ごす時間は、なんだか不思議で、でも楽しい。
花柄のシャツをふざけてあてがう繁人を見ながら、百夏は久しぶりに心から笑った気がした。