【SR】メッセージ―今は遠き夏―
自分は、たまたま生まれてきてしまっただけの、大勢の中の一人。
存在していることに、さほど意味などない。
ずっと、そう思って生きていた。
物心ついた時には既に母子家庭の環境で、甘えるという言葉も知らずに。
困ったことは、自分で解決してゆくしかないのだと、いつしか身についていた。
友達、そして恋人も。
寄り添っている時は楽しくて、でもいつかみんな、離れていってしまう。
誰かが隣にいる幸せを知った後の孤独は、さらに辛く感じた。
だったら、いっそ最初から一人でいるほうがいい――。
気がつけば、大好きだった母さえも、自分のそばからいなくなってしまった。
……ほらね、やっぱりあたしは一人なんだ。
自分は、世の中をたった一人で生きてゆくことを、生まれながらに宣告されたのだ。
いつしか、孤独である事も当たり前に受け止められるようになっていた。