【SR】メッセージ―今は遠き夏―
セキュリティゲートをくぐり、搭乗口に向かいながら足並みを揃えて歩く。
前方を向いたままで、繁人は言った。
「俺、そばにいたらダメかな」
言葉を失う百夏。
まるで、脳内の思考が読まれているかのようだった。
「モモカ……いや、千夏の代わりとかじゃなくてさ。
結局、今回の件は俺が振り回しちゃったわけだけど、こうして引き合わせてくれたのは、やっぱり何か意味があることだと思ったんだ。
縁あって、百夏の人生や環境を知ることができてさ。
一緒にいていろんなことがわかっていくうち、これからこの子のことは、俺が守ってやりたい、そう思ったんだよね。
って……俺も偉そうにいえるほど、すごい人間じゃないけどさ。
でも、守るのは俺だけじゃないんだぜ。
千夏も、親父さんも、そしてお袋さんもずっと百夏のそばで見守ってくれてるんだって。
この旅で、それを痛いほど感じたんだよ」