【SR】メッセージ―今は遠き夏―

もし普通の家庭で、のんびりとした生活を送ってきていたら、こんな風に気付けなかったのかもしれないのだから。

人生に回り道などない。

そう、百夏に教えてくれたのは、千夏なのかもしれない――。




大きな窓から見える景色はもうすっかり陽が落ち、濃紺の空が広がっている。

空に浮かぶ満月はやけに大きく、月明かりがここまで届くようだ。


その姿は、まるで二人を優しく見下ろしている父のようにも見えた。




「メッセージ――今は遠き夏――」 / 完

< 55 / 56 >

この作品をシェア

pagetop