オレンジヒーロー

校門につくと土屋亜珠がすねてた。言われるか?言われるか?

「沙雪おそー…どうしたの!?」

きたー。目を大きく見開いてずいっとアタシの顔のほんとに近くまできた。
ちゅーするのかっつーぐらい近い。

「なんでもない」

理由を言ったら絶対謝ってくる。
土屋亜珠が悪いんじゃないんだけどな。だから言わない。

「ほんとに?じゃあ、カラオケいこっ!!」

「は!?」

カラオケ!?アタシ…カラオケ嫌いなんだけど?
いった事ないし。
アタシが拒否していると横で安西が。

「佐伯ー土屋亜珠の提案聞いてやれよー
俺らも行きたいしなぁー」

アタシは絶対歌わない。と心んなかで決意しながら渋々カラオケへ向かった。
学校から自転車で5分ほど。
物凄く近い所にカラオケ店はある。
アタシは初めて入ったので辺りをキョロキョロ見渡す。

「佐伯ってもしかしてカラオケ初めてなの?」

「そうだけど…なんで今日はあんたアタシに絡んでくんの」

「土屋亜珠がさぁー協力してほしいってゆーから
あの上目遣いでゆわれるとさすがに断れないっしょ」

安西は誰でも断れないだろ…

「呼び方」

「は?」

「土屋亜珠って呼び方」

「あーいいじゃん別にかぶっても。気に入ったし。」

別に良いんだけど、なんかマネされてるのがコイツってのが気に入らなかった。
アタシは安西をスルーして部屋の中に入る。
中には健也とぎこちなく話している土屋亜珠がいた。

「あっ沙雪っ歌おっ」

「先入れたら」

アタシは絶対歌いませんから。
と心の中で付け足す。
後から安西も入ってきて2人の中に加わる。

「土屋亜珠ー2人でこれ歌おー?」

「えっえっと…」

「1人で歌え。土屋こういうのは冷たく突き放さなきゃ駄目だからな」

「なんか俺がMみてぇじゃねっっ?」

「違うだろっ」

こんな会話が私の前で繰り広げられ3人はワイワイきゃいきゃいはしゃいでいた。…駄目だ。
私は

「トイレ」

と嘘をつき明らかバレるだろうと思いつつ鞄をもち部屋をでて一人分のお金を払い外にでた。
どうもああいう空間というか空気は無理だ。
別に楽しくない訳じゃない。
ただああいうのは慣れていないんだ。
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