オレンジヒーロー
「沙雪!!今日からよろしくねっ」
ガンッ
勢いよくドアをあけて喋る私。
しかし目の前には沙雪はいない。
「っった…土屋亜珠。」
すごく低い声だけど開いたドアの裏側のほうから沙雪の声がした。
そういえばさっき、ガンッて言ってた気が…。私はそっとドアの裏側のほうを覗いた。
そしたら凄い険しい顔で頭を押さえてる沙雪がいた。
「さっ沙雪ごめん!!わざとじゃ…」
「あーわかったから。それよりこの荷物、あんたのだから」
沙雪が指差す先にはいくつかの段ボール。
私は自分の荷物が無いのにも気付かずに家に帰って過ごしていたんだ。
「あ、わかった。ありがとう。」
「じゃあもう寝るから。
あ、鍵は必ず閉めてね。じゃないと…」
「じゃないとなんだよ、佐伯っ」
ニコニコと私達の部屋に入ってくる人なんて1人しかいない。
そう、安西くんだ。
「土屋亜珠ー顔がマヌケだぞー
何?健が良かったー?」
「違っなんでここに安西くんがっ」
安西くんの言葉に体が熱くなった。
健也くんって名前聞いただけなのに。
「顔真っ赤じゃんーかわいー
なんでってそら、土屋亜珠に会」
「五月蠅い」
夜にもかかわらず同じテンションで絡んでくる安西くんに沙雪は冷たく言った。
本当、2人仲悪いよね…。どうしてかな。
そうこう考えていると口喧嘩が勃発していた。
「は?つか俺は土屋亜珠に会いに来たの。佐伯関係なくね?さっさと寝たら?」
「安西の声がでかくて寝れないんだよ。さっさと健也のとこ帰れば」
「健は今風呂だから暇なんだっつーのー…あ、言いこと考えた。」
口喧嘩の途中で安西くんが満面の笑みを浮かべた。
嫌な予感が少しする。
「土屋亜珠、俺らの部屋こいよっ」
「ふぇ!?あっ安西くんの部屋!?」
「そっだって健もいるしなぁー」
「土屋亜珠、絶対行くな。」
「だからさっきからなんだよ佐伯はー決めるのは土屋亜珠だろーなっ?」
喧嘩するほど仲がいいのかな…
ってそれより、安西くんの部屋ってことは健也くんの部屋だから…
やっぱ健也くんがいるわけだよねっ?うん、そうだ。
私は自問自答を繰り返していた。
その時
「おいー真広ー」