オレンジヒーロー
私は足の早い佐伯さんの後ろを小走りでついて行く。
佐伯さん、もしかして指導室まで迎えに来てくれたのかなぁ?
悪い人じゃないのかも…。
「…早いよー」
「あんたが遅いんだよ」
…やっぱり怖い…。
だけど佐伯さんは少しペースを落としてくれた…かと思えば…
ドンッ
「ぶっ…」
私はまた佐伯さんにぶつかった。
佐伯さんが突然止まったからだ。
「だから前見て歩きなって」
「だって佐伯さんいきなり…」
「沙雪」
「え」
「だから、`佐伯さん'じゃなくて`沙雪'。」
「沙雪…」
「よし」
と言ってまた佐伯さ…沙雪は歩きだした。
友達…って呼べるかはまだわからないし怖いし冷たいとこあるけど
何故か私は沙雪に心を開けそうだった。
密かに放課後を楽しみにしてる私がいた。
「…土屋亜珠。回れ右」
「え?」
「だから回れ…」
沙雪は突然私を反対方向に向ける。
「あれ?うわー可愛い娘いんじゃーん
土屋亜珠ちゃんだよね?
つかなんで佐伯が連れてんの」
沙雪は深いため息をついている。
まるで『見つかった…』って顔。
そして私の腕を引っ張り反対方向に歩き出す。
「おいシカトすんなってーなぁ土屋亜珠ちゃん?」
「私の名前…」
「っコイツと喋んなくていいっ」
「佐伯感じわるーい。土屋亜珠ちゃんに嫌われんぞー」
この人も私のフルネームをしっている。
やっぱり、転校生は有名になるんだよね…。
「俺は可愛い娘の名前しか覚えねーんだよーまぁココに例外がいるけどな」
「五月蠅い」
どうも私の目の前にいる男の子と沙雪は仲良くないようだ。
というか…この人私の心ん中読んだ!?
「読みましたー」
「えっ」
「あ考えてる事当たってた?俺ら運命じゃね?」
「意味不明。」
「お前には言ってねぇよ。あっ俺、安西真広(あんざい まひろ)っよろしくねっ土屋亜珠ちゃんっ」
「あ宜しくお願いします」
安西君は首もとまである派手なオレンジ色の髪をワックスで固めていてピアスもあけている。
安西君も少し怖いけど親しみやすそうな人だった。