オレンジヒーロー

「やっぱ可愛いー俺の目は確かだな。メアド教えてくんねー?」

沙雪はもうあきれている。
そんなに仲が悪いのだろうか。
私が携帯を取り出そうとすると予鈴のチャイムがなった。

「あっちゃータイミングわりぃー。
土屋亜珠ちゃんっ後で教えてなー
んじゃね」

5限目は移動教室らしく
安西君は何ももたずに友達と教室とは逆方向に走っていった。
安西君て、不良?

「やっと消えた…ほら早く。」

「あっゴメン。」

私は急いで沙雪の横にいった。
沙雪からはオレンジの香りがする。
飴?香水?
どっちかはわからなかったけど、良い香りだった。
沙雪も安西君もオレンジだぁ…。
なんて考えていると
教室についた。

「じゃ」

と言って前のドアから入っていく沙雪。
私は後ろのドアから。
席に座るとすぐに美由が声をかけてきた。

「ねっ沙雪チャンと仲良いの?」

「んーよくわかんないーなんで?」

「いやっなんでもっ」

疑問に思ったけど、本鈴がなったので聞けなかった。

授業は前の学校よりペースが遅い。
だから一回習った内容もある。
だけど私は賢い訳でもないし
一緒に喋る相手もあまり居ないから真面目に授業をうけていた。

「転校生ガリ勉?」

なんてギャル女子の声も聞こえる。
ガリ勉って真面目に受けてるだけなんだけどなぁ…。
私なんでこんな僻まれるんだろ?
私の頭の中は`?'でいっぱいだった。

7限目まで授業を終えLHRも終わり私が少し楽しみにしていた
学校案内の時間になった。
私がまだ自分の席にいる沙雪に声をかけようとすると
沙雪はそそくさと教室をでた。
私も慌てて鞄を持って教室をでて彼女の後をおった。

「沙雪怒ってる?」

トイレ付近で立ち止まった沙雪に聞く。

「怒ってない。」

「じゃあなんで?」

「教室ではアタシに喋りかけない方がいい」

どういう事…?

「じゃ案内するからきて。」

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