オレンジヒーロー
私は何も言わずついていった。
沙雪に何かあるのかな。
だけど今はまだ聞けない。
会ったばっかりだし…触れられたくない過去かもしれないから。
「…聞いてる?」
「ふぇ!?」
「何その声…ここが図書室
ま、あんま皆つかわないけど」
確かに中には誰もいなさそうだった。
けど…1人だけ静かに本を探している人がいた。
「カッコいい…」
「は?あー寮長?」
「寮長!?」
「馬鹿。声がでかい」
言い忘れてたけど
この学校…音羽(おとはね)高校は全寮制。
ただし転校生は入寮手続きなどがありしばらくの間自宅から通う。
たぶん来週から私も寮生になるんだけど
まだ寮長の顔は見た事なかった。
私が大きな声を出したため寮長はこっちをみた。
そしてこっちに向かってくる。そしてドアをあけ、図書室の外にでてきた。
「佐伯。この子もしかして土屋さん?」
「あっつっ土屋亜珠です。大声だしてすみませっイダッ」
私はペコッと頭を下げた時、沙雪の腕に頭を当ててしまい…勢いつけて下げたから強打してしまった。
チラッと沙雪をみると物凄く恐ろしい顔をしている。
「プッ土屋さん面白いね。俺、第1寮の寮長、風見 拓矢(かざみ たくや)。高3だよ。よろしくね。」
「はいっ宜しくお願いしますっ」
私は小さくお辞儀した。
「腹黒寮長…」
「佐伯…。なんの事かな?」
風見先輩って…腹黒いの…?
こんな優しいオーラ溢れてるのに。
「もう、弟にはあった?」
「いえっまだです…」
「そっか。たぶん…グラウンドにいるから、佐伯に紹介して貰って?」
「なんでアタシが…」
「じゃっ」
沙雪は深いため息をつく。
「寮長には逆らえないから
グラウンドいくか…」
沙雪が逆らえない相手?!
やっぱり腹黒くて怖いんだろうか?
なんか…寮に入るの怖くなってきた。
「あ、あんた第1寮な訳?」
「たしか…」
「…マジで…だからか…」
「なんで?」
「あんた、アタシと同じ部屋だ…」
沙雪と!?
良かった…。知ってる人だ。と安心する私の横で沙雪は
「せっかくの1人部屋が…」
とぼやいていた。