加納欄の張り込み シリーズ3
「大山先輩、いつからダルかったんですか?」

 あたしは、慌てて荷物から風邪薬がないかあさった。薬を見つけると、大山先輩の所まで戻った。

「いつから具合悪かったんですか?なんで、言ってくれないんです?署に戻りますか?」

 薬とお水を渡しながら、もう1度質問した。

「いつからって。ウェッ。嫌いな奴だ」

 大山先輩が薬を飲みながら答えた。

「なんで言ってくれないんですか?栄養ドリンクとか買ってきます?体温計もありましたけど、計ります?」

「寝てれば治る。何もいらねぇよ。欄、全て任せたからな」



全て・・・?



仕方ないか・・・。



「真中のことは、気にしなくていいですよ。とりあえず、吉井さん達に連絡いれときますね」

 真中確保は、今回4人を2組にして、吉井さん鮎川さんが、車の中から、アパートを見張り。

 大山先輩とあたしが、アパートから部屋を見張っていた。

 吉井さん達の連絡を待ちつつ、吉井さん達が気付かなかった場合の為に、部屋を集中して監視していないといけなかった。

 考えを変えれば、吉井さん達から、連絡がなければ、大山先輩の看病も、多少はできるということでもあるんだけど。

「大山先輩、ツライですか?」

 もう1度、おでこに触れてみた。



あがってる・・・(-_-)



 薬飲んだから、もう少しで効き目は出てくると思うんだけど。

「欄、寒い」



そうだよねぇ。



でも、何にもないんだよねぇ。



 あたしは、大山先輩のトレンチコートとあたしのダッフルコートを、掛け布団の上に重ねた。



寒い。って、熱があがってるってことだよね。



 考えていると、窓の外が一瞬明るくなった。



合図?



 慌てて、窓際により、双眼鏡で真中の部屋を確認した。

 5分たっても、10分たっても、真中の部屋は明るくならなかった。



ただのライト?


窓を開けておく、冬の10分は、部屋の温度を一気に冷たくさせた。


さ、さむぅ~(>_<)



大山先輩、風邪ひいてるのに・・・。



「クシュン」

 あまりの寒さに、くしゃみが出た。

 くしゃみをすると、体が寒く感じることに気づいた。


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