加納欄の張り込み シリーズ3
 大山先輩もコーヒーを注いだ。

「欄を襲おうとしてたろ」

「襲ってねぇよ。するわけねぇだろ、あいつ相手に」

「俺が行った時は、お前、欄に馬乗りになってたじゃねぇか」

 高遠先輩が、笑いながら話す。

「やめてくれ。熱があったとはいえ、オレの汚点だ、他の奴等に見られてなくてよかったぜ」

「どこまで覚えてんだよ」

「・・・」

「キスしたとこか?」

「し、してねぇよ!」

「襲ったとこか?」

「してねぇって!・・・タカ、お前面白がってるだろ」

「そんなことねぇよ」

声が少し上ずっている。

「何の話ししてるんです?」

 朝の挨拶もなしに、あたしが2人の先輩の所へ行った。

「なんでもねぇよ」

「なんでもないよ」

 2人の先輩に軽くあしらわれる。

 そして、大山先輩があたしを見て、ハァ~と、ため息をつく。

「な、何なんです?人の顔見ていきなりため息って」

 大山先輩が、あたしの足から順番に目線を上に上げていく。

 そして、もう1度、ハァ~とため息をついた。

 あたしは、大山先輩を軽く睨んだ。

「色気ねぇよなぁ・・・」



い、色気?



「あたしにだって色気くらいありますよ!」

「ねぇよ。お前みたいな童顔チビ。お前色気って意味わかってるか?お前とはこんだけ違うんだよ。色気がある女は襲われるけど、お前は、1度もないだろ?」

 と言って、大山先輩は、手の平をクルッと返した。



カッチ~ン(−_−#)!



「あ、バカ」

 高遠先輩が小声で言ったけど、あたしのスイッチが入った。

「私には色気がないから襲われないんですね?」

「そのと〜り。お前に少しでも色気があったらなぁ、俺だって襲うくらいの気持ちがでるだろ?」

「そぉですか。わかりました」

 あたしは、一呼吸おくと、息を吸い込み大声を出した。

「みなさぁん!!この前張り込みしてた時に大山先輩は、熱があったフリをして、あたしを襲ったんですよぉ!!!高遠先輩も証人でぇす!!しかもぉ!熱のせいでかなり甘えん坊になって!突然!!ンンッッッ〜!!!」


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