恋乃仕方
「寒〜っっ。」
「うわっ、ホントだ。4月だってのに、やっぱ夜は冷えんだな。」
「あ、あたしチャリだ!だから…」
「俺もチャリだし?」
「あのさ…青山くん…意外にしつこくない?」
「敬語やめるようになったら毒舌だな〜」
「ご…ごめん」
「まー早く帰っぞ」
二人で自転車置場まで歩いていく
二人って言ってもあたしは青山くんのちょっと後ろを歩く
もちろん細心の注意を払う
こんなこと誰かに見られてたらあたし殺される!
だってあの青山くんだしね!
キョロキョロしていたときにふと青山くんを見ると
青山くんは上を見ていた
「わぁーめっちゃ綺麗!」
そこには満天の星空
あれ何座だろ…?
いや、あたしが考えても知識ないから分かるわけないか
「寒いと星って余計綺麗に見える気がしねぇ?」
「え…うん…久しぶりに星なんて見た…」
「俺星好きなんだ」
「へー…」
「石井さんは?何好き?」
「あー…あたしは…今は桜が好き…かな?」
「今は?しかも疑問形だし?」
「桜は春限定で好き」
「じゃあちょっと遠回りな近道すっか!」
「え?あっ…ちょっと待ってよ!」
青山くんは先に自転車を漕ぎ出した。
もー置いていくなんて!送る気ないならほっとけばいーのに!
そうは思いながらもあたしは青山くんを追い掛けた。