恋乃仕方

桜の下から空を見上げる

満開まであと少しというような桜の隙間を縫って星が輝いている







「嘘…嘘…綺麗すぎる…」

「だろ?俺小さい頃この近くに住んでてこれ見つけたんだ。けど引っ越して、他の県に行って…また帰ってきたから今あるか不安だったけど…あるって信じてたから…」

「ありがとう…綺麗」

「いや、俺が見たかったから。石井さんこそ付き合ってくれて、ありがと」

「そんな…」





べつにそこらの桜とは変わらないような木だったけど

なんだかその桜は綺麗に見えて

隣に青山くんがいるのも不思議なことで

あたしはずーっと青山くんのペースで

だけど全然嫌じゃなかったんだ









それからしばらく、桜の下から星を眺めていた

それは青山くん限定の星桜で

あたしの春限定がひとつ増えた
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