最 後 の ラ ブ レ タ ー 。
第一節 ◆ 出会い
「おい、瀬戸サン」
私は後ろからふと肩を叩かれ、後ろを振り向くと――見覚えのない顔がそこにある。
「? 誰?」
「わぁ! 見て! 二組の大吾がいるよっ!」
隣にいた友人の真央がはしゃぐ。
それにつられて周りにいた女子達も驚いて大吾と呼ばれる男子に注目する。
「ほんとだ、矢野君だ! えーっ何で何で? 愛、どういう関係!?」
「数学のノート――落し物を、届けにきただけ」
大吾がそう言い放つと、周りの女子は、期待に裏切られてガッカリしたような――反対に関係がなくて安心したような――ため息を洩らした。
「彼女じゃないんだ! まっ、そうだよなー! 勘違いしたわー」
「愛が彼女になれるわけないっつのー」
みんなそう言って私のことを笑った。
……ったく、みんなだって人のこと言えないくせに。
私はみんなに馬鹿にされたのが悔しくて、笑われた原因でもある大吾を軽く睨んだ。