今宵、月の照らす街で
―現在、東京政都―
物語を紡いだ明奈は一粒、大きな涙を流した。
「私には…選択肢は無かったわ。もはや反逆者の様に刃を向けた兄さんを殺すしか…」
師は膝を抱えて、小さく、丸くなる。
「最期にね…兄さんを殺した後…兄さんはありがとうって…そう言ったわ。殺した私にね」
明奈のやりきれなさが、成二に痛いほど伝わってきた。
「その後、私は遺言に従って政都に来た…春日の使命を果たす為…アナタ達を護る為よ、せぇじ」
「俺達を…?」
明奈は優しく頷く。
「そう。もちろん最初はヤル気なんて無かった。だって八龍とは言え面識の無い人間を護る程余裕無いもの。大学は転入したけどまともに行かなかったし…キャバで男を騙しながら生きてた。ストレスを解消しながら…お酒に溺れたかったの」
「…」
黙る俺に言葉を続ける。
「でも…特に、アナタが歩く道が私に似てるんだもの。ほっとけないでしょ?」
「明奈さん…」
「私は運命に従う。身内殺しと罵られても………でも時々は泣かせてね?」
「私には…選択肢は無かったわ。もはや反逆者の様に刃を向けた兄さんを殺すしか…」
師は膝を抱えて、小さく、丸くなる。
「最期にね…兄さんを殺した後…兄さんはありがとうって…そう言ったわ。殺した私にね」
明奈のやりきれなさが、成二に痛いほど伝わってきた。
「その後、私は遺言に従って政都に来た…春日の使命を果たす為…アナタ達を護る為よ、せぇじ」
「俺達を…?」
明奈は優しく頷く。
「そう。もちろん最初はヤル気なんて無かった。だって八龍とは言え面識の無い人間を護る程余裕無いもの。大学は転入したけどまともに行かなかったし…キャバで男を騙しながら生きてた。ストレスを解消しながら…お酒に溺れたかったの」
「…」
黙る俺に言葉を続ける。
「でも…特に、アナタが歩く道が私に似てるんだもの。ほっとけないでしょ?」
「明奈さん…」
「私は運命に従う。身内殺しと罵られても………でも時々は泣かせてね?」