今宵、月の照らす街で
食卓には、多香子の作った肉じゃがのいい香りが広がる。


紘子がいないことに、未だ慣れないが、多香子がいるから、どこか落ち付いた気分になれる。


食べ終えてから、二人で後片付けをしてると、多香子のケータイが鳴る。


同時に、成二のケータイも。


成二のディスプレイには春日明奈の名前が、多香子のディスプレイには、飯森あずさの名前が光る。


「任務かしら」


「多分ね」


二人でそれぞれケータイに出る。


『せぇじ?特異点が発生したの。場所はJR渋谷駅。すぐに来て』


「了解」


明奈からの連絡を切ると、多香子はまだ指示を出していた。


しばらく待つと、ケータイを切って、成二を見る。


「行くよ?」


「ん」
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