今宵、月の照らす街で
黄昏に染まる政都。
何も起こらない、平和な一日も残り6時間近くで新しい日を迎える。
如月桜はここしばらく、政都宮内庁とは別行動に出ていた。
秋葉原電気街を一人、難しい顔で歩く桜。
せっかく再開した彼女の姉に姿を見せる事は無く、単独任務に没頭していた。
ふと、雑踏の中から視線を感じて振り返る。
しかし、桜を見る人は誰もいなかった。
道行く人は思い思いに歩き続けて、立ち止まる桜を交わし、追い越す。
気のせいか、と思い、再び前を向く桜の背中には、再び視線と大きな存在感、そして桁外れの“陰”が立ち込めた。
「みんな逃げて!!!!」
今まで感じた事の無い気に、周囲の人間を避難させようと叫ぶものの、その真意を理解出来ない一般人には、桜がただの気違いの様にしか見えなかった。
そのたくさんの冷たい視線が桜を捕らえた時―――
数多の人間が陰に喰われた…
何も起こらない、平和な一日も残り6時間近くで新しい日を迎える。
如月桜はここしばらく、政都宮内庁とは別行動に出ていた。
秋葉原電気街を一人、難しい顔で歩く桜。
せっかく再開した彼女の姉に姿を見せる事は無く、単独任務に没頭していた。
ふと、雑踏の中から視線を感じて振り返る。
しかし、桜を見る人は誰もいなかった。
道行く人は思い思いに歩き続けて、立ち止まる桜を交わし、追い越す。
気のせいか、と思い、再び前を向く桜の背中には、再び視線と大きな存在感、そして桁外れの“陰”が立ち込めた。
「みんな逃げて!!!!」
今まで感じた事の無い気に、周囲の人間を避難させようと叫ぶものの、その真意を理解出来ない一般人には、桜がただの気違いの様にしか見えなかった。
そのたくさんの冷たい視線が桜を捕らえた時―――
数多の人間が陰に喰われた…