今宵、月の照らす街で
明奈と成二。


師弟の二人が作り出す、金色の風の波動。


月を背にした明人は、眼にした瞬間に嫌悪の色を浮かべる。


「ひ…光……ヒ………カリ………ぁぁぁあああああ!!!!!」


明人の咆哮に、その背から陰の翼が広がる。


「ヒカ…リ…………邪魔………邪魔だぁぁあぁぁ!!!」


身体中から陰の波動が溢れ出し、そのまま二人に向かう。


「成二?アレ、いいかな」


「了解」


明奈の指示に、成二が6本の大剣を天に投げる。それとは別に、手には大剣を構え、明人に真っ向勝負を仕掛ける。


「旋蒼龍牙[センソウリュウガ]」


声に従い、明人を囲んだ6本の大剣が風の波動を増幅させる。


成二自身も風を纏い、大剣を下から振り上げた。


明人にぶつかった大剣は、死神に塞がれたが、同時に6本の大剣からなる風が中心に集束し、明人と死神に深い牙を刻む。


「ギッ………!」


明人の口から陰が漏れる。


「まだだ」


「何…!!?」


6本の大剣は、明人と死神の身体に喰い込み、風の波動が消えないままに拘束具の役割を為す。


「動きを…止めたのかっ!!」


明人の怒りに満ちた紅い眼が成二を捕らえる。


成二は何も言わずに、明奈を見た。


「御膳立てはしましたよ?明奈さん」
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