今宵、月の照らす街で
会議を終えると、画面の中の老人達が即座に散る。


恐らく、自らの果たすべき事を果たしに向かったのだろう。


連日働き詰めなのは対策室だけではなく、各省庁を筆頭にした政府機関全てがそうだった。


『多香子くん、そして皆さん』


國井総理の優しい声が響いた。


『国民には、今回の事件に霊的な物が関係しているなんて想像もついていない。きっと、君達の苦労や苦悩すら、表に出ない。でも、君達が必要だ。頼みましたよ』


「御安心下さい。その為の対策室です」


多香子が微笑む。総理は少し安心してディスプレイから姿を消した。


「さて、と…いいかな、みんな?」


多香子の声に、八龍が頷く。


「私、千鶴、明奈さん、京介、紘子は本庁スタッフと結界破壊に就きます。時間は0時。細かい指示は私が後で出します」


「了解」


「杏里さん、引き続き救護班と合流して負傷者の治療に当たって下さい。余裕があれば一般の方も診てあげて下さいね」


「OK」


「結衣?成二と桜を連れて結界内を見て回って」


「要はパトロール…かな?わかりました」


「剣ちゃんはあずさちゃんとお留守番。今は気を休めなさい?あずさちゃんは外から連絡来たら私に繋いで?」


「…ち〜す」
「了解しました」


「では各々方、抜かり無い様に!」
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