今宵、月の照らす街で
成二が全ての剣を大気中に封じる。


「あ」


明奈から、結衣の術を見て学ぶ様にアドバイスされた事を思い出す。


しかし、自分の闘いに集中していた為に結衣の闘いを見れなかった。


改めて結衣を探すと、仮庁舎の玄関に、桜と二人で立っていた。


「凄いね。ただ、気の使い方がイマイチ効率悪いかも」


結衣が成二に拍手しながらアドバイスする。


「もっと教えてあげてよ」


「明奈さん」


結衣の後ろの扉を開いて、明奈、多香子、紘子、千鶴、京介が出て来た。


「結衣、これから結界解除に向かうから、皆で待機しててね」


多香子が結衣に微笑む。


「もうそんな時間?気をつけてね」


多香子はヒラヒラと手を振る。間もなく、対策室スタッフの用意した2台の車が仮庁舎前に駐車し、5人が別れて乗り込んだ。


「成功しますかね」


成二が心配そうに出発する車を見届ける。


「わからない。でも、ベストメンバーを組んだんだから、きっと大丈夫」


何も心配していない様に、結衣はハキハキと話す。


―――信じてるんだな


成二は、まっすぐな結衣の瞳を見た。


「結衣さん、さっきの、気の効率的な使い方、教えてください」


成二も5人の成功を信じながら、少しでも近付ける様に、結衣に教えを求めた。
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