今宵、月の照らす街で
桜がハッとなる。
「陰陽の逆転…まさか…月那主宮が蓮舞天照院に変わって天を治めるってコト…?」
『そうだ。フランスでの情報収集は有意義だった様だな、如月。やはり先代を殺すだけでは足らなかったか』
「じゃあ…父さんと母さんは…!」
桜の声が震えた。
『私が消すよう指示した』
「ふざけるな!!」
橙色の波動が爆発した様に、桜から溢れ出た。殺気を剥き出しに駆け出した桜の肩を、多香子が掴む。
「放して!」
狂気の宿った、紅い瞳が多香子を睨む。
「下がりなさい」
多香子は言葉に気を宿した。桜は我に返り、一歩身を引く。
「今年の皇居で、見えない式を発動させたのは貴方?」
『あぁ。陰を宿した式だ。陰の特性は“同化”。簡単に景色と一体化出来た』
「目的は?」
間髪入れず、多香子が問う。
『蓮舞天照院暗殺などは期待していなかった。神の一族を何処まで欺けるかの実験だ。流石に小龍沢は欺けなかったが、な』
確かに、真っ先に気付いたのは成二だ。
「じゃあ、半鬼の存在は?」
『我が傑作だ。人と魔。相反する存在の反発力が生み出す力がここまでとはな』
多香子はその言葉に沈黙した。だが、多香子の怒りに反応し、大気にはプレッシャーが疾り出した。
「陰陽の逆転…まさか…月那主宮が蓮舞天照院に変わって天を治めるってコト…?」
『そうだ。フランスでの情報収集は有意義だった様だな、如月。やはり先代を殺すだけでは足らなかったか』
「じゃあ…父さんと母さんは…!」
桜の声が震えた。
『私が消すよう指示した』
「ふざけるな!!」
橙色の波動が爆発した様に、桜から溢れ出た。殺気を剥き出しに駆け出した桜の肩を、多香子が掴む。
「放して!」
狂気の宿った、紅い瞳が多香子を睨む。
「下がりなさい」
多香子は言葉に気を宿した。桜は我に返り、一歩身を引く。
「今年の皇居で、見えない式を発動させたのは貴方?」
『あぁ。陰を宿した式だ。陰の特性は“同化”。簡単に景色と一体化出来た』
「目的は?」
間髪入れず、多香子が問う。
『蓮舞天照院暗殺などは期待していなかった。神の一族を何処まで欺けるかの実験だ。流石に小龍沢は欺けなかったが、な』
確かに、真っ先に気付いたのは成二だ。
「じゃあ、半鬼の存在は?」
『我が傑作だ。人と魔。相反する存在の反発力が生み出す力がここまでとはな』
多香子はその言葉に沈黙した。だが、多香子の怒りに反応し、大気にはプレッシャーが疾り出した。