今宵、月の照らす街で
『200年前から決められた闘い。永かった。貴様等八龍を率いた小龍沢が阻み、狂った計画が永い時と弊害をも生みおった…だが!機は熟した!!』


葉月の声が次第に掠れ、廉明の気配が色濃くなる。


『貴様等を殺し!血を奪い!嵐神の力を手にし!月那主宮こそが真の統治者たる者と知らしめる!』


汚らしい笑いに、多香子が歯を食いしばる。


「腐ってるのね…!」


『何?』


多香子の瞳が、黒から澄んだ空色に変わる。


「貴方のエゴで日本を目茶苦茶にしてる…同じ“三柱”として許せない」


『その瞳…』


「皆は下がって。千鶴。あずさちゃんに連絡取っておいて」


多香子から、空色の波動が溢れる。


「多香子、どうする気?」


「祓う」


多香子は嵐紋菊一文字を手にして、鎧を纏った葉月に向かった。
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