今宵、月の照らす街で
「たか姉、おはよう」


「おはよう。さ、顔洗っといで?ご飯食べよ?」


食卓の準備をしながらエプロン姿の多香子が微笑む。


なんとなくテーブルを見てみると、今日の食卓には、だし巻き玉子があった。


「…」


大好物を見て、少し足早に洗面所に向かった。


顔を洗って、いざ食卓。


多香子が作るだし巻き玉子は昔から至高の絶品で、見ただけで嬉しくなる。


至福の時を味わってから制服に着替え、歯を磨いたら、ちょうど7時20分。


「はい、お弁当」


紘子からお弁当を受け取って、マフラーと手袋を装備する。


「ありがと。行ってきます」


「気をつけてね」
「いってらっしゃい」


姉2人に見送られて、新年初の高校に向かった。
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