今宵、月の照らす街で
成二はひたすら大剣を降り続けた。
「散れ…!」
2本の大剣を中心に、大気から剣を呼び寄せては、放ち続ける。
先程、鬼蜘蛛から貰った一撃のせいで頭から血が流れ、痛みで意識が飛びそうだった。
それでも成二は、怯む事無く柱に向かう。
「邪魔ぁ!!」
半鬼を真っ二つにしたが、その影から鬼神が腕を振り降ろした。
「…!!!!」
重い一撃を剣で受け止められず、右膝が地面につく。
―――畜生!
右足に力を込めようとすると、自然と風の力が成二を助けてくれた。
「らぁっ!」
そのまま薙ぎ払った大剣は、鋭い風を生み、全ての魔を切り裂いた。
必然と柱までの道は開けたが、今にも意識が飛びそうな状態のために、思うように一歩を踏み出せない。
霞んで行く成二の視界の中に、車椅子が入った。
―――誰だ?
「頑張ったね。それに…大きくなったね」
澄んだ女性の声がした。その女性の後ろにあった柱は、音もないままに崩れた。
「な…」
「大丈夫。柱はもう壊したよ」
女性は成二に近付き、ゆっくりと手を翳した。そして、暖かい何かが成二の身体を駆け巡った。
「はやく多香子を助けに行ってあげてね」
成二の視界が鮮明になった時、不思議とその女性の姿は消えていた。
成二には何もわからないままだったが、不思議と懐かしさが胸にずっと残っていた。
「散れ…!」
2本の大剣を中心に、大気から剣を呼び寄せては、放ち続ける。
先程、鬼蜘蛛から貰った一撃のせいで頭から血が流れ、痛みで意識が飛びそうだった。
それでも成二は、怯む事無く柱に向かう。
「邪魔ぁ!!」
半鬼を真っ二つにしたが、その影から鬼神が腕を振り降ろした。
「…!!!!」
重い一撃を剣で受け止められず、右膝が地面につく。
―――畜生!
右足に力を込めようとすると、自然と風の力が成二を助けてくれた。
「らぁっ!」
そのまま薙ぎ払った大剣は、鋭い風を生み、全ての魔を切り裂いた。
必然と柱までの道は開けたが、今にも意識が飛びそうな状態のために、思うように一歩を踏み出せない。
霞んで行く成二の視界の中に、車椅子が入った。
―――誰だ?
「頑張ったね。それに…大きくなったね」
澄んだ女性の声がした。その女性の後ろにあった柱は、音もないままに崩れた。
「な…」
「大丈夫。柱はもう壊したよ」
女性は成二に近付き、ゆっくりと手を翳した。そして、暖かい何かが成二の身体を駆け巡った。
「はやく多香子を助けに行ってあげてね」
成二の視界が鮮明になった時、不思議とその女性の姿は消えていた。
成二には何もわからないままだったが、不思議と懐かしさが胸にずっと残っていた。