今宵、月の照らす街で

倒れる成二に、紘子が周りを見ずに走り出す。


「紘子ッ！」


紘子の背中を叩こうとする鬼神を見て、千鶴がサポートに入る。


龍の波動を右手に宿して、鬼神の攻撃を受けようとするが、タイミングが合わない。


力を受けきれず、千鶴が膝をついた。


「…ッ！」


その隙に、千鶴を潰そうと鬼神が襲い掛かる。


「千鶴さん！」


紘子の叫びも虚しく、千鶴が鬼神の拳の雨に倒れる。


気を失った千鶴に、最期の一撃を加えようとする鬼神に、紘子が全力で阻止しようと走った。


「邪魔ッ！！」


紘子は風の力をチャクラムに集め、風の刃となって高速回転するそれを投げつける。


風が炸裂し、千鶴に群がる鬼神を散らしたが、対策室の大きな戦力が削られてしまった。天玉院の間では、何よりもそれが痛手だった。


気を失う千鶴を抱えたまま、悔しいが故、無意識のままに紘子は廉明を見る。


その時、成二にも最期の一撃を加えようとするアナンベルの姿までもが映る。


「終わりだ」


「やめてぇェェェ！！！！」