今宵、月の照らす街で
朝。


今日は紘子の洋食。マッシュルーム入りのオムレツは絶品で、今日の朝も充分に満足出来る。


そんなこんなでまた高校に向かい、教室に入ると、例の転入生を中心に輪が出来ていた。


「あ、セージ。おはよう」


金髪の転入生はニコッとして成二に声をかける。


「…あぁ」


―――何を考えてる…?


昨晩の記憶が蘇り、その蒼い瞳を見ると、疑念だけが頭を支配した。


「昨日ね、歓迎会したの」


クラスメイトの女子、カオルの突然の声。カオルは構う事なく、その事を詳しく話してくれる。


「私達、寮だから夜1時までゆっくり話してたの」


―――1時?


昨日の任務は12時前に遂行し、例の金髪の女性と接触したのが12時半少し前。


いとも簡単にアリバイが成立してしまう事に、成二は驚きを隠せない。


―――違うのか?


明るい会話の中で、ソフィへの疑念が更に色濃く染まっていく…


―――何が真実だ?


追い求める真相が、より一層深い闇に沈んだ。
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