今宵、月の照らす街で
言葉にすら陰を宿し、甲冑に身を包んだ月那主宮廉明の姿に、多香子の瞳が疼き始める。


「廉明………ッ!アナタは何処まで堕ちれば気が済むの!」


廉明の姿に共鳴するように、左瞳が蒼く輝き、風が吹き荒れる。


多香子の風は完全に8匹の龍へと姿を変え、多香子の身を囲んだ。


そして多香子が一歩踏み込む。


その場所はハッキリと足跡を残し、再びソニックブームが廉明を叩く。


だが甲冑に身を包む廉明に、その衝撃は有効な手段では無かった。


だが、多香子の膝蹴りが廉明の顔面を捕らえる。衝撃でのけ反る廉明に、竜巻の様に回転した多香子の蹴りが連続で入った。


重い連撃に、廉明は完全にバランスを崩した筈だったが、のけ反りながらも廉明の右手が多香子の脚を掴む。


「!!?」


多香子は急に引っ張られ、鳩尾に膝蹴りでカウンターを喰らう。


「…ッ!」


多香子を龍が守ったが、完全には防ぎきれずに多香子にダメージが届く。


そのまま、続いて月輪菊一文字の柄で多香子の頚部に一撃を喰らわせた。
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