今宵、月の照らす街で
Prologue
闇夜に、碧い石が輝いた。


その綺麗な石を見つけた女性は、それを手にする。


決して誰かのモノとも言えないような、粗雑で、いびつな石。しかし、宝石の様に輝く石。


道端の石の様に落ちていたそれは、その女性に選ばれた。


そう。


それは、運命。そして、必然。


敢えて言えば、女性は、その石の真の価値を知らない。


知るはずなど、無かった。


それ故、悪意はない。


その碧い石は輝きを放ち、女性の手に握られた。


そう。


それは、運命―――
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