今宵、月の照らす街で
式神が元来の姿を現し、多香子がそれを手にして想いに耽ける。


暫くして、ダークスーツを身に纏った2人の女性と5人の男性が、荒れた石畳に姿を現した。


「セージ…」


心配そうにソフィが声を震わせる。


「あぁ、大丈夫。仲間だ」


そう言うと、多香子の下に一人、女性が近付いてくる。


「結構派手にやったわね、室長」


「まぁ…私はそんなにやってないけど…」


多香子は頬を人差し指でかく。そんな姿を見た後、その女性は成二に近付いてきた。


「成二、アナタね。こんなにぐちゃぐちゃにして。もっと上手くやりなさい」


顔だけ近付けて、あからさまに呆れた顔をされると何も考えられず、成二の口からは謝罪の言葉しか出てこない。


「千鶴さん…ゴメン」


凪千鶴[ナギ チヅル]。政都宮内庁陰陽課壱番隊隊長。


千鶴は溜息をついた後、身体を起こして救護班を呼んだ。


「彼女、民間人?ウチにこのコ居たっけ?」


眉をひそめてソフィを見つめる千鶴。


「あ、クラスメイトです」


「そ。じゃぁアナタ、こっち来て。いろいろ手続きあるから」


そう言って無理矢理ソフィを連行していく。千鶴は、指示を出しながら車に向かった。


そんな光景を見守ってると、成二の隣に姉が座り込んだ。
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