今宵、月の照らす街で
―2005年12月24日―


表と言うか裏と言うか。


京都宮内庁の仕事から比べれば、まだ表の仕事とも言えるはずの、夜の仕事を終えて、明奈は帰路についていた。


―――これで大学の学費はあらかた稼げたかな?


今日はクリスマスイベントだったため、客と同伴やらで、明奈の疲労は結構溜まっていた。


そんな中で、ケータイが鳴る。


「もしもーし」


「明奈はん、壱番隊に指令や。霊的特異点が発生。竜安寺に向かったってや!」


こういう場合、大抵は対策室からの電話が多く、今日も例外ではなかった。


「了解、今から向かうわ」


「明奈はん、気ぃ付けて!ものごっつぅ霊圧高いねん!陰も出とる!」


しかも今日の相手は大物らしい。


「わかった。みんなを竜安寺に展開して頂戴」


―――全くクリスマスなのに…空気読みなさいよね!


明奈は溜息をついたあと、夜の首都を駆け抜けた。
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