雲の上の存在
「なーんも。進展なしだよ。」
翔ちゃんたちサンライズは、本当に朝から晩まで忙しそうに働いている。
たまに遊びに行くけど、個人の仕事が多いせいか3人が揃っているところを最近は見ない。
『そおか〜。あたし、玲奈には良い恋してほしいんだー』
「春はさ、好きな人出来た?」
『あたし?出来るわけないじゃん(笑)』
「そうだね(笑)」
『それ、どーいう意味〜!?』
あたしは校門が見えてきたから「そーいう意味!」と言いながら走る。
後ろから『なにそれー!!』と怒るフリをした春が追いかけてきている(笑)
(春、可愛いからすぐに彼氏なんか出来ると思うんだけどな…)
ガラララ…
あたしが教室に入ると、一斉に皆が注目してきた。
『玲奈〜!久しぶりじゃん☆』
『仕事、忙しそうだねえ!TV見てるよ〜っ』
口々に聞こえてきた声。
「みんな久しぶり〜」
簡単な挨拶だけ済ませて、自分の席に腰をかける。
『玲奈〜、お前すっかり芸能人だな(笑)』
あたしをお前よばわりする、この男は田崎拓(たざき たく)。
赤色のつんつん頭でド派手なピアスをしている、いわゆる『不良』だ。