雲の上の存在
「…それは、作ろうと思ったら作れるよって拓は言いたいの?(笑)そうだよね、あたし可愛いしね〜」
『はいはい、そうだね。』
「いや、それは否定してほしかった(笑)」
『玲奈の扱い方って簡単だな(笑)』
拓がニヤニヤしながら言ってくる。
「気持ち悪っ」
『は!?いきなりなんだよっ』
(やば、声に出てたっ)
「ま…まあ、聞いといて!仕事あるから早退する!ばいばーいっ」
『おう。じゃあな!』
拓と別れて教室を出ようとしたとき、同級生らしい女の子に呼び止められた。
『神崎さん!』
「何?」
あたしと同じくらいの身長だけど、スラっとしていて細身。茶髪でピアスしてて今どきって感じの女の子。
『あのさ、神崎さんって田崎君と仲良いよね。付き合ってんの?』
「は!?付き合ってないし、まず好きじゃないから。」
『…そうなんだ。あ、友達になってよ。私、神崎さんのファンなんだっ』
「……ありがと。」
『私のアド、これだから暇なときメールしてね。それじゃ!』
《米山美樹》と書かれたクセのある文字とアドレスが書かれた紙を手渡された。
(なんだったんだろ…)