雲の上の存在
『聞きたいこと?』
「うん。どうして拓にストーカーすんの?」
あたしは、率直に聞くことにした。
拓はあたしの30センチくらい後ろにいる。
『…じゃあ聞くけど、そんなに熱心に田崎くんのこと心配してるっていうことは、神崎さんは田崎くんのことが好きなわけ?』
「あたしの質問に答えてよ。」
『神崎さんが答えたら、私も答える。』
「拓は、友達としてだったら大好き。たまに憎いと思うけどね(笑)」
後ろで拓の、笑いを堪えている声が聞こえる。
『…正直言うと、私は神崎さんは田崎くんのことが好きなんだって思ってた。いつも仲良いし…』
「それとストーカーの何が関係あるの?」
今のあたしは、冷たいかもしれない。
『………さぃ!』
下を向いて、米山美樹は小さく何かを呟いた。
「え?」
『…ごめんなさいっ』
米山美樹は大きくお辞儀をした。
「…泣いてるの?」
『…ヒック…私、自分に自信がないの。でも、田崎くんが大好きなの。けど…神崎さんと仲良くてさ、いつも嫉妬してた。』