雲の上の存在
もう一つの恋
拓には好きな人がいるらしい。
知らなかった。
あたしの心は拓の好きな人が知りたいという衝動に駆られる。
放課後
学校が終わると同時に、春があたしの席に飛び込んで来た。
『玲奈!嬉しいお知らせがあるのっ』
春は何だか今日一日、いつもより凄くテンションが高かった。
「どしたの?何か良い事でもあったの?」
『高也くんに告白したら、OKだった♪』
なんて話す春は、とても幸せそう。
「良かったじゃん!おめでとう!!でも、なんで朝一に教えてくれなかったの?」
『玲奈にはゆっくり話したかったからさ♪』
「…ありがと♪」
『じゃ、高也と帰るね!ばいばい玲奈っ』
(ちゃっかり呼び捨てだしっ)
あたしは、「ばいばーい」とだけ言って、教室から出る春を見送った。
今日で一つの恋が終わり、一つの恋が始まったことを知った。
(あたしも頑張んなきゃ…)
あたしはそれから、頻繁にサンライズの楽屋に行った。
季節は涼かった秋から寒い冬に変わり、学校は冬休みに入った。