雲の上の存在
あたしは怒ったフリをしたけど、嬉しかった。
《昔の玲奈は…》
なんて、昔の玲奈は子どもだったって言いたいんでしょ?
前向きに考えてみたら、今のあたしは成長したって言ってるようなものじゃん!
しかも後から訂正してるとことか絶対そうじゃんっ!
あたしは、嬉しすぎて今なら何でも出来るような気がした。
“サンライズの皆さんです!”
一人で舞い上がっていたら、司会者がサンライズを呼んだ。
翔ちゃん達がステージに上がっていく。
楽しそうに司会者と会話が弾んでいるサンライズをあたしは見守る。
(…やっぱりこういうとき、格が違うって思うんだよな…)
〜♪〜♪〜♪
サンライズが歌い始めた。
今年で一番、人気があった曲。
あたしは瞬きするのを惜しむ程、翔ちゃんを見ていた。
このとき丁度、テレビでは、あたしのドアップが画面の隅に小さく映っていたようだ(笑)
あたしは翔ちゃんを見るのに熱中していたからか、左隣の人があたしを呼んでいるのに気が付かなかった。
『…ぇ、ねえっ!』
「あ、はいっ!」