雲の上の存在
“では、もう一度歌って頂きましょう!”
涙で音もハズれて最悪だった。
最悪なハズなのに、お客さんたちは勿論、他のアーティスト達も涙を流してた。
だから、あたしはスッキリだった。
レコード大賞が終わると、すぐインタビューなどがあって、帰宅出来たのは夜中の12時。流石に疲れた。
あたしの部屋に入ると、マネージャーさんから頂いたファンレターの山々。
《いつも応援しています!》
《頑張って下さい!》
《RENAさんは私の生きる源です。》
《いつも元気を貰ってます!》
沢山のファンレター。
今までゆっくり見たことなんて無かった。
あたしは初めて、ファンレターの返事を書くことにした。
(あたし、ファンの人たちに感謝しなきゃ…)
来年は、ファンの皆にもっと会うために、ツアーを沢山行うことに決めた。
学校を今よりもっと休むことになると思う。
でも2学期最初に校長室に呼ばれたとき。
『神崎は成績が良いから特待生ということで免じてやろう』
という一言で、あたしの出席日数は無視されてる。