ボクキミ

「あぁ、なんて素晴らしい朝!そして素晴らしい僕!今日と云う日に乾杯だ!」
僕は明田 伊織(アケダイオリ)中学3年生の青春エンジョイエヴリディな少年さっ!さぁ、今日から新しい一年が始まる!桜と共にレッツゴーゥ!!


「よーぅ!今年もよろしく!3年C組諸君!」
風と共に颯爽と教室へ入る。やはり僕は素晴らしい!
「よーぅ。おはよう明田伊織。新学期早々テンション高ェな。」
この気だるい雰囲気を身に纏った男は、僕の数多くの親友の一人、伊達 優(ダテ マサル)だ。優しい伊達男ってどうなの!?と思わず聞きたくなる名前だが、僕はコイツのそんなところがまた素晴らしいと思う。
「おぅよ!全くお前は今年もローテンションガイだなぁ!」
「何だよそのカタカナ羅列はよ〜。」
「よくぞ聞いてくれた!これは僕の素晴らしい脳が今思いついたスバラシフレーズだ!」
優は一瞬悩んだ後、やっぱり気だるい雰囲気のまま笑った。ここまで気だるく生きられるっていうのは本当に素晴らしいな。と、僕はしみじみと考えてしまう。

「そう言えば、今年はお前とは完璧正反対の奴がいるよ。」
「ん?何それ?」
優の指差した先に居るのは、赤茶けたくせ毛のショートカットの女子。パッと見で判断するならば、活発で明るい女の子というところであろうか。どこがどう正反対なのだろう?
「花市 薫(ハナイチ カオル)。超ポジティブなお前に対して、アイツは超ネガティブ。」
意味がわからない……。

「ど…どういうことだ…?」
「……つまりな、」
いつにもまして気だるい雰囲気倍増中の優の言うことを要約すると、その花市薫というのは全くもって変わった考えの持ち主で、なんと、なんと、この素晴らしい世界を下らないと考えているのだ。
「マジか…?」
「うん。マジ。」
ありえない…そんな…そんな…ありえてたまるかぁー!!何がなんでも、花市薫に世界の素晴らしさを伝えねば!今、僕の炎が燃え上がった。

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