奏。‐カナデ‐









_・・・・・・・



「はぁ~風が気持ち~い」

「松本っはよ行くぞー」

あたしたちは、あのあと遅くまで学校に居たことで職員室でちょっと先生に怒られたけど、やっぱ楽しかったから全然気にしなかった。

それで今、家の方向が一緒だから途中まで一緒に帰ってる。



「・・・ね~なんで片瀬ピアノしてたの?習ってんの?」

「まぁな。親に無理矢理させられて。」

片瀬は向こうを向いてたから表情はわかんなかったけど、どこか寂しそうだった。


「無理矢理って・・・それ、嫌じゃない?」

「嫌だよ。・・・けど、結局ピアノ好きだし」

「ふ~ん」

前に聞いたことがある。
片瀬の両親はどっちも有名なピアニストなんだって。

だからかなぁ。『親に無理矢理』って。


「・・・・でも今日は」

「ん?」









「今日は松本が居たから、楽しかったよ。」



・・・外が暗くてよかった。

明るかったら、顔が真っ赤なことがたぶんバレてたから。








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