奏。‐カナデ‐






「いらっしゃいませ~!」

元気な店員さんの声が涼しい店内に響く。


「あ~天国・・・。」

「何食べる?!何食べる?!」

たくさんのアイスを前に、興奮するあたし。
片瀬はそれを呆れた目で見ている。

「お前の奢りな。」

「えっ?!」

「無理矢理連れて来られたんだからそれのお詫びだよ」

ニヤリと笑う悪魔がそこに居る。
しまったぁ~!!

「う・・・。」

仕方ない。
無理矢理連れてきたのは本当だし。

「はよ選べよ~」

片瀬がダブルのアイスをかじりながら、あたしに言う。

うう。
食っちゃったらもうお金払わなきゃじゃん~。

「これとこれ下さい・・・。」


「はい、ごゆっくりどうぞ」

可愛い笑顔でアイスを差し出す店員さん。

「ありがとーごさいます・・・。」

「・・・・・・・・」

その後何も言わない店員さん。
・・・あれ?

「あの~いくらですか?」

「えっ?もうお金はいただきましたよ?」

・・・え?え?



< 30 / 39 >

この作品をシェア

pagetop