奏。‐カナデ‐
「いらっしゃいませ~!」
元気な店員さんの声が涼しい店内に響く。
「あ~天国・・・。」
「何食べる?!何食べる?!」
たくさんのアイスを前に、興奮するあたし。
片瀬はそれを呆れた目で見ている。
「お前の奢りな。」
「えっ?!」
「無理矢理連れて来られたんだからそれのお詫びだよ」
ニヤリと笑う悪魔がそこに居る。
しまったぁ~!!
「う・・・。」
仕方ない。
無理矢理連れてきたのは本当だし。
「はよ選べよ~」
片瀬がダブルのアイスをかじりながら、あたしに言う。
うう。
食っちゃったらもうお金払わなきゃじゃん~。
「これとこれ下さい・・・。」
「はい、ごゆっくりどうぞ」
可愛い笑顔でアイスを差し出す店員さん。
「ありがとーごさいます・・・。」
「・・・・・・・・」
その後何も言わない店員さん。
・・・あれ?
「あの~いくらですか?」
「えっ?もうお金はいただきましたよ?」
・・・え?え?